2009年06月14日

[書評] 仁木 英之 / 『僕僕先生』

僕僕先生 (新潮文庫) 仁木 英之 / 『僕僕先生』 / 2009-03-28 / 新潮文庫 / B+

手にとった時、「面白そう!」という予感と「酒見賢一の劣化縮小コピーじゃない?」という予感の両方があったんだけど、嬉しいことに前者があたって後者がはずれた。

可愛い少女の格好をしているけれど、その実(じつ)、数千年は生きている仙人の僕僕先生(ぼくぼくせんせい)。
今の日本で言えばパラサイトシングル、ニートといった存在の王弁(おうべん)。
裏表紙の紹介文によれば「不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年」ということになるんだけど、そのアニメ的な好都合すぎるだろ、という設定がうまい具合におかしみにつながっている。

見た目は美少女なんだけど、実際にはおじいさん(もしくは、おばあさん)。この恋はどこまで本物なんだろう。
(仙骨はないので)仙人にはなれないと分かっているのに修行を続ける意味なんてあるんだろうか。
仙人も、仙人ではあっても神様ではない。完璧ではない。仙人ならではの苦悩とは。

なんてことを思いつつも、それどころではない抱腹絶倒のストーリー展開に引き込まれて腹筋が引きつる。いい作品に出会えた。

『僕僕先生』を手にとると頭に浮かぶのはこの三冊。

酒見 賢一 『後宮小説』
古代中国を舞台にした少女主人公つながり。
ファンタジーノベル大賞受賞作つながりでもある。
山田 史生 『もしも老子に出会ったら』
老荘思想と少女つながり。
『僕僕先生』では少女が仙人なんだけど。
程 聖龍 『仙人入門』
仙人つながり。
でも、『僕僕先生』が描く仙人像とはかなり違う。

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posted by ほんのしおり at 09:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍・雑誌