
内田 樹 / 『先生はえらい』 / 2005 / ちくまプリマー新書 / A
全編パラドックスに満ちていて、それで最後には笑いながら泣き笑いの涙で目から鱗が落ちる、という本です。
例えば「コミュニケーションでは正確に伝えることは致命的だ」とか、タイトルの由来にもなっている「弟子が正しく理解しないからこそ先生は先生でありえらいのである」とか。
それってどゆこと??? と思った方はぜひ本書を手に取ってみて下さい。
ちょっとだけ紹介しておきますと、例えば「あなたという人がよくわかったわ」というせりふ。
これは二人がこれから関係を始めようというときに使われるでしょうか。もう終わりにしようというときに使われるでしょうか。
はい、終わらせるときですよね。
完全に分かった = もうあなたを理解する必要はない = もうあなたと関係を続けたくない なのです。
職場の仕事上の情報伝達はまた違うと思いますが、日常のコミュニケーションでは「もっと知りたい
= まだよく分からない」ことが大切、というんです。
えー、そんなばかな、と思うでしょ。
でも、本書を読めばそれをいろいろなたとえ話、分かりやすく抽出した思想家や学者の達見などであざやかに説明してもらえます。
タイトルは「先生」(と生徒)ですが、実際には「師匠と弟子」について語っています。
そして、「弟子は誤解する、誤解するからこそ存在意義がある(だって誤解なしであればそもそも先生は弟子を必要としませんよね)」という地点から、「正解は一つしかない、だけど誤解には無限の可能性があるし、それこそがあなたの存在意義なのです」というメッセージに到達して生徒を、あなたを、励ましてくれます。
中高生向けというちくまプリマー新書だけど、大人(だと思っている人)にもお薦め。
読み終わったら、とても元気になれます。
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『先生はえらい』