石田 衣良 / 『Gボーイズ冬戦争』 / 文春文庫 / 2009-09(2007-04) / C+
うーん、決して悪くはないんだけど、だんだん深みがなくなって漫画的なわかりやすさに逃げている(落ちている)気がする。
例えば今回の表題作にもなっているGボーイズの冬戦争。 Gボーイズというチーマーのナンバーツーがナンバーワンに反旗を翻すことになるんだけど、どう読んでも「さすが右腕、No.2」という魅力が読み取れない。 倒された後には読んでてスカッとする、頭の悪い腕力だけの悪ガキ、というキャラクター。
このIWGPシリーズの魅力って、ガキの世界にも大人の世界とまったく同じように悩みや悔やみ、矛盾と絶望、希望と刹那が入り乱れていることを疾走感と内省感とで描いているところだと思う。 その片方が微妙に浸食されてきている気がして残念。
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