2009年11月23日

[書評] 篠原 匡 / 『腹八分の資本主義

腹八分の資本主義 篠原 匡 / 『腹八分の資本主義』 / 2009-08 / 新潮新書 / B

日経ビジネスオンラインの記事を再編集したもの。 日本を、特に地方を覆う閉塞感を打ち破るヒントを求めてユニークな取り組みを行っている企業や地方自治体を訪ね歩く。

篠原さんの記事は日経ビジネスオンラインの中でも私のお気に入り。 一冊の本にまとまったということで喜び勇んで手に取ってみた。

悲観しているだけでは何も変わらない。目を凝らせば、日本の中にも希望はあるものだ。(中略)共通しているのは、社会を蝕む「強欲」を退け、お金には代えられない価値を守り続けていることである。(カバー見開きの紹介文より)
この基本姿勢は本書でも変わっていない。 事例紹介記事として、とても素晴らしい読み物になっている。 目のつけどころの良さ、インタビューのうまさ、バランス感覚、やや楽観主義的にすぎるかなと思うこともあるほどの前向きな姿勢。

そうそう。本書は「資本主義」を否定している訳ではない。「強欲な資本主義」を否定している。腹八分目でやめておこうよ。
一方で、資本の論理が働かない、欲だけが駆動力となる地方交付金(助成金)がどのような結果を招くのかも描いている。
理想的ではないと文句をいうことは簡単だけど、少しでもましな方法があればそれを使おう、それは穏やかな資本主義ではないか。そんなメッセージを感じる。
「そんなにうまくいくの?」と思うこともあるけど、本書にはその希望の光が紹介されている。少ないけれども成功事例があること、解はあること、やり方次第でなんとかなりそうだというヒントが。

ただ、一冊まとめて読んでみると、物足りなさを覚えるのも確か。 本書は入り口(広く浅く)知る、そういうやり方もあるんだと知ることには向いているけど、どうしても丁寧に掘り下げていく、長期間にわたって検証してみる、という点は守備範囲外。
りんごでもレストランでも森林でも、一冊まるごと取り上げている(時に著者が本人の)本もあるようなので、今度はそっち方面に手(足)を伸ばしてみよう。

Amazon.co.jp: 『腹八分の資本主義 日本の未来はここにある!』

posted by ほんのしおり at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍・雑誌
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