中島 京子 / 『ツアー1989』 / 2009-08(2006-05) / 集英社文庫 / C
うーん、残念、空振り。
『FUTON』がびっくりするような面白さだったのでこちらの作品も手に取ってみたのだけど、「企画の意図は分かるけど小説として面白くない」という残念な結果でした。
あらすじはどうでもいいとして、この作品が取り組んでいるのは「私というのは、私が思うような私ではなく、他人が思うような私ではないのか?」というテーマです。
個人的には首を縦に振る(深遠な)問いなのですが、掘り下げが足らない感じと、一度バラバラにしてみせた後の再構成や組み立てがうまくいっておらず、小説としてのまとまりにかけている感じがします。
内田樹が『下流指向』で「なぜ自分探しをする若者は誰も自分を知らないところへ出かけたがるのだろうか。自分をよく知る人を訪ねる代わりに」と喝破していたのですが、それ以上の何かがあるわけでもなく、単純な小説としてもあまり面白くなく、冒頭の言葉「残念、空振り」となった次第です。
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